災難に遭い、錯綜する

職場の先輩Yさんの運転する白いトラックの後について、私は同じ白いトラックを運転していて、T字路から車道に入り右に曲がってすぐ、荷台に乗っていたタオルが落ちてしまった。そして、そのT字路を過ぎて、5、60ｍの所にあった信号が赤だったので停車した。

私は、その信号待ちの間にトラックを降りて、駆け足でタオルを拾いに戻った。タオルを拾い戻ろうとすると信号が変わってしまい、私の運転していたトラックは勝手に進んでしまった。運転手のいないそのトラックはジグザクしながら進み、少し先で停まった。

ようやく私がトラックに追いついくと、そのトラックは先輩Yさんの運転する白いトラックにロープで牽引されていた。「ああ、こういう事だったのか」と納得した。


トラックの側でひと安心していると今度は、岸壁下4、5ｍの海へ落ちてしまった。岸壁の上から見るとトラックはまだ浮いていたが、海面が大きくうねっていて、トラックは激しく揺れていた。そして、トラックの窓が全開になっていたので、中に置いてあったいろいろな荷物が放り出されてしまった。

透明度の高いコバルトグリーンの海面に、仕事関連の書類や私物のバックや財布、免許証などが浮いている。それを見ながら、「どうしようか」と頭の中でいろいろと考えが錯綜した。

側には小さな船に乗った人がいたが、海が荒れていたので拾ってもらう訳にはいかない。透明度が高いので後で潜って拾えばとも考えるが、水深がとても深そうなので無理そうだ。そしてまだ浮いている物を見ながら、「こういう場合は何を優先して拾うべきか」を考え、財布と免許証だけを玉網ですくい上げた。

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